
SBOMとは、製品に含まれるOSSやサードパーティ製ライブラリの依存関係・バージョン・ライセンス情報をリスト化したものです。
日本語では「ソフトウェア部品表」と呼ばれます。
ソフトウェア部品表(SBOM)の説明は、身近な食品の「原材料表示」に例えると非常に分かりやすくなります。
例えば、「マカロニサラダ」を作るには、マカロニ、マヨネーズ、きゅうりなどの「材料」が必要です。
さらに遡れば、マカロニは小麦から、マヨネーズは卵から作られています。
どのメーカーの、どの材料を使っているかを正確に管理するリスト(原材料表示)がなければ、万が一、材料の「小麦」に異物混入などの問題が見つかった際、どの商品を回収すべきか判断できず、食の安全を守れません。

食品サプライチェーンと食品表示の関係
(出展:ソフトウェア管理に向けたSBOM(Software Bill of Materials)の導入に関する手引Ver. 1.0)
ソフトウェアもこれと全く同じです。 現代のソフトウェア開発では、ゼロからすべてを作るのではなく、世界中で公開されているOSS(オープンソースソフトウェア)や、サードパーティ製のライブラリといった「既存の部品(材料)」を組み合わせて構築するのが一般的です。
これらの部品情報をSBOMとしてリスト化しておくことで、万が一特定の部品に脆弱性が見つかった際に、即座に「自社製品にそれが含まれているか」を特定し、対処することが可能になります。

ソフトウェアサプライチェーンとSBOMの関係
SBOMが注目されている背景として、
①サプライチェーン攻撃の急増
②米国大統領令によるSBOMの義務化
③経済産業省が「ソフトウェア管理に向けたSBOMの導入に関する手引」を発行
の3つがあります。
ファイアウォールなどの防御技術が強固になるにつれ、近年はソフトウェアの構成部品である「OSS(オープンソースソフトウェア)」の脆弱性を狙ったサプライチェーン攻撃(※)が急増しています。
そういった中、対策の鍵としてSBOMが注目されています。なぜなら、攻撃被害が拡大する根本的な原因が、多くの企業が「自社で利用するソフトウェアに、どのようなOSSが含まれているか」を把握できていない、ブラックボックス状態にあるためです。
SBOMは、このブラックボックスを解消し、ソフトウェアの「構成要素」を可視化します。これを整備することで、サプライチェーン上で新たな脆弱性が発覚した際、「自社は影響を受けるか」を即座に特定し、迅速なリスク対応を取ることが可能になります。
(※)ターゲット企業が利用するソフトウェア製品やOSSの脆弱性を悪用したり、 開発プロセスに侵入して正規のアップデートプログラムにマルウェアを仕込むなど、供給網(サプライチェーン)を介して行われる攻撃のこと。
SBOM対応の世界的な流れを決定づけたのが、2021年5月に発効された「米国大統領令 14028号(国家のサイバーセキュリティ強化に関する大統領令)」です。
これは、SolarWinds事件(2020年)のような大規模なソフトウェア・サプライチェーン攻撃が国家安全保障上の重大な脅威と認識されたことを受けて発令されました。
この大統領令によって、米国連邦政府(国防総省、各省庁など)にソフトウェアを納入するときは、ソフトウェアの透明性を確保するために「SBOM」を提出することが、政府調達の要件として事実上義務付けられました。
また、その他にも、国内外問わずに様々な業界で、SBOM対応の義務化や推進が進められています。
日本でも、世界のSBOM対応の流れを受けて、2023年7月に経済産業省による「ソフトウェア管理に向けたSBOM(Software Bill of Materials)の導入に関する手引 Ver.1.0」が策定されました。
この手引書には、SBOMを導入するメリットをはじめ、導入する際に認識・実施すべきポイントがまとめられています。
規制/ガイダンス | 概要 | 動向 |
|---|---|---|
米国大統領令 14028(EO 14028) | サイバーセキュリティ強化を目的に発行された米国大統領令。 | 2021年5月の署名。米国連邦政府にソフトウェアを納入するベンダーに対し、SBOMの提出を事実上義務化。 |
UN-R155 / 156 | 車両のサイバーセキュリティ(UN-R155)とソフトウェアアップデート(UN-R156)に関する国連法規。 | 2022年7月以降の新型車に順次適用。SBOMは、法規が要求するライフサイクル全体の脆弱性管理を効率化する手段として不可欠とみなされている。 |
PCI-DSS v4.0 | クレジットカード業界のグローバルセキュリティ基準。 | v4.0ではソフトウェアコンポーネントの管理が重視され、2025年3月までにSBOMへの対応が求められている。 |
EUサイバーレジリエンス法(CRA) | EU市場で販売される「デジタル製品」のセキュリティを強化するための法律。 | 2024年12月11日に法律が成立。2027年12月11日までに、SBOMの作成・提供を含むCRAの全ての要件を満たしていない製品は、CEマーキングを貼付できず、EU市場での販売が禁止となる。 |
IMDRFサイバーセキュリティガイダンス 薬機法 | 医療機器のサイバーセキュリティに関する国際的なガイダンス。 | 2023年の改訂でSBOMの作成と提供を明確に推奨。医療機関への透明性確保とライフサイクル管理に不可欠とされている。 |
SBOM関連の主要な規制・ガイダンス動向一覧
「ソフトウェア管理に向けたSBOM(Software Bill of Materials)の導入に関する手引 ver 2.0」にて、弊社が提供する脆弱性管理クラウド「yamory」が、「SBOMの作成や運用・管理に資する代表的なツール」の有償サービス内、唯一の国産ツールとして紹介されています。

次に、SBOM管理ツール導入によるメリットについて解説します。
Log4Shellのような重大脆弱性が出た際も、自社システムへの影響を即座に特定できます。
サポート終了ライブラリ(EOL)も自動検出でき、気づかないまま放置していたリスクを解消できます。
近年のソフトウェアは、サードパーティ製のコンポーネントを組み合わせて開発されるのが一般的です。
これにより開発は効率化しましたが、同時にサプライチェーンが複雑化し、依存関係のブラックボックス化や、そこを狙ったサプライチェーン攻撃が問題になっています。
複雑化した依存関係をSBOMで可視化することで、「自社ソフトウェアに脆弱な依存関係が含まれているか」を直接・間接問わず特定できます。
ソフトウェア開発で利用されるOSSには様々なライセンス形態があり、意図せずライセンス違反をしてしまうリスクがあります。
SBOM管理ツールでは、各コンポーネントのライセンス情報を収集しリスト化できるため、使用しているコンポーネントが自社のポリシーや製品の要件に準拠しているかを簡単に確認することができます。また、禁止されたライセンスが含まれていた場合にアラートを出すなどの運用も可能になり、法的なリスクを回避することができます。
SBOM管理ツールはどれでも良いというわけではありません。今後、SBOMの導入・管理は、脆弱性への対策とセットで考えることが不可欠となっており、それらを見据えたツール選びが極めて重要になります。
ツールの機能が「SBOMを作って保存する」だけでは不十分です。すでに、欧州のCRA(サイバーレジリエンス法)のような世界的な規制は、SBOMを開発・運用のプロセスに統合し、継続的に脆弱性管理を行うことを求めています。
そのため、国際標準フォーマットでの出力・管理に対応し、グローバルな規制要件を満たせるかが重要な選定基準となります。
SBOMは、自社システムのみで管理するだけでなく、サプライチェーン全体で情報を連携・共有するために使われます。エクスポート機能は、顧客や規制当局から提出を求められた際に必須となり、逆にインポート機能は、サプライヤーから受け取ったSBOMを自社の管理システムに取り込むために不可欠です。
高性能なツールは多くの脆弱性を検出できますが、単に検出するだけでは、「検出した脆弱性情報の数が膨大になり、どれから対応するべきかの判断に工数がかかる」という問題に直面します。
そこで重要になるのが、「対応の自動優先順位付け(オートトリアージ)」機能です。検出した脆弱性情報と、自社のシステム環境を自動で分析し、実質的なリスクを検出・評価してくれる機能があるかどうかが、運用工数を削減する鍵となります。
SBOM管理はセキュリティ担当者だけでなく、開発者や法務担当など多くの人が関わります。
ツールが複雑で特定の人しか使えないと「属人化」を招き、組織全体を通した継続的な運用が困難になります。ダッシュボードの見やすさや直感的な操作感、アラート内容の分かりやすさなど、現場の誰もが使いこなせるUI/UXであることが重要です。
SBOMと脆弱性管理は、導入して終わりではなく、安定的な運用が求められます。特に緊急性の高い問題が起こった時、「すぐ対応してもらえるか」は極めて重要です。
海外製ツールの場合、サポートが英語対応のみであったり、時差で対応が遅れたりする懸念があります。
日本語のサポートが受けられるか、また国内の法規制や日本に準拠した対応が期待できるかは、安定運用のための大きな選定ポイントとなります。
以下の4項目、いくつ「できている」と言えますか?
□利用中のOSSリストを常に最新に保てている
□新しい脆弱性が出た際、影響範囲を即日で特定できる
□脆弱性の対応優先度を自動で判定できる仕組みがある
□担当者が変わっても運用が止まらない体制が整っている
yamoryは、これらの課題をまとめて解決することができる、国産のSBOM管理ツールです。

ここまで解説した「SBOM管理ツールを選ぶポイント」をすべて網羅し、セキュリティ対策を強力にサポートするのが、脆弱性管理クラウド「yamory(ヤモリー)」です。

yamoryは、SPDXやCycloneDXといったフォーマットで、SBOMのインポート・エクスポートに対応。これにより、自社でのSBOM作成・管理はもちろん、サプライヤーとの連携もスムーズに行えます。 また、PCI-DSSやサイバーレジリエンス法(CRA)など、世界的に厳格化する法規制やレギュレーションに準拠した脆弱性管理体制の構築も支援します。

yamoryが特許を取得している「オートトリアージ機能」は、攻撃コードの有無や実行可能性などを多角的に分析し、本当に対応が必要な脆弱性だけを自動で判定します。これにより、担当者はノイズに惑わされることなく、重大なリスクに集中して対応できます。

SBOM管理は、多くの部門が関わります。yamoryは、専門家でなくてもリスクの状況をひと目で把握できる、直感的でわかりやすいダッシュボードを提供しています。誰でも簡単に使いこなせるUI/UXだから、属人化を防ぎ、組織全体での継続的なセキュリティ運用を実現します。

yamoryは、経済産業省が策定した「ソフトウェア管理に向けたSBOMの導入に関する手引」にて、唯一の国産ツールとして紹介されるなど、世界基準に対応できるSBOM管理ツールです。管理画面はもちろん、サポートも全て日本語対応。緊急時の対応や日々の小さな疑問にも、迅速にお応えします。
脆弱性管理クラウドyamoryは
ビズリーチを運営するVisionalグループのサービスです