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パッチ管理入門 プロセスとメリット / デメリット

パッチ管理 とは、システム上にバグや脆弱性の穴が見つかった際に作成される修正用ファイル「パッチ」の適用状況を管理し、デバイスを最新状態に保つプロセスのことを指します。
パッチマネジメントと呼ばれることもあります。

本記事ではパッチ管理の概要から、パッチ管理のプロセス、管理を行う上でのメリット・デメリットについて解説していきます。


パッチ管理とは

システム上にバグや脆弱性の穴が見つかった際に、穴を塞ぐための修正用ファイルが作られることがあります。
これを「パッチ」と呼び、このパッチの適用状況を管理をすることが「パッチ管理」になります。

「パッチ」とは元々裁縫用語からきており、服に穴ができた際、穴を塞ぐために使う当て布や端切れのことを指します。
穴を塞ぐことから転じて、IT 用語としても定着した経緯があります。

一般的に、大掛かりな修正や改善はバージョンアップとして対応されるケースがほとんどです。
しかし、小さな問題の修正はパッチで対応される場合もあります。

そのため、広義の意味では、バージョンアップによるセキュリティ問題の修正もパッチ管理に含まれます。

パッチとして修正箇所のみが配布されるメリットとしては、以下があります。

  • 修正箇所のみの変更なので、データサイズを抑えられる
  • 変更箇所を少なくすることで、アップデートなどの変更が原因となるデグレートを軽減できる

パッチ適用の有効性が説かれるようになってから長い期間が経過していますが、現在でもセキュリティ管理の不備から起きる事故は少なからず存在しています。

原因としてはパッチ管理の運用面に課題があることが多く、対応するだけでなく効果的な運用プロセスを確立することも重要なポイントになります。


パッチ管理のプロセス

パッチ管理は一度行えば完了というものではありません。
継続的に適用が必要なパッチがないかを監視し、管理・運用することが求められます。

効果的にパッチ管理を実施するためには、組織内での運用サイクルを構築することも重要なポイントとなるでしょう。
ここからは、具体的にパッチ管理はどのようなプロセスで運用されていくのかについて解説していきます。

パッチ管理の運用は主に4つのプロセスに分かれます。


1. 査定と棚卸し

まず、運用環境がどのようなソフトウェアコンポーネントで構成されているのか、加えて新しいソフトウェア更新プログラムに対応するように準備できているのかを調査します。

パッチが必要なコンポーネントは多岐にわたるため、ここの棚卸しは非常に苦労することが多いです。
たとえば OS 、IPS / IDS・ルーターなどのネットワーク機器、アプリケーションの言語やフレームワーク・ライブラリなどが挙げられます。


2. パッチの識別、優先順位付け

次に、リリースされたパッチを把握し、パッチの適用が必要かどうかを判断します。

適用が必要かを判断する際は、この更新が通常なのか緊急なのか、適用しないとどのようなリスクが発生するのかを見ていきます。
これにより、リスクの受容が可能かといった観点でパッチ適用の可否を判断することができます。


3. 評価、計画、およびテスト

パッチの評価・計画段階では、運用環境にパッチを展開するか判断し、実施計画、ステージング環境などでテストを実施します。
パッチを展開することで問題が発生しないかを注意深く確認しましょう。

パッチの評価では、パッチ適用後にアラートとなるログが発生したり欠如しないかと言った観点や、パフォーマンスの低下が起きていないと言ったさまざまな評価を実施します。

実施計画では、パッチ適用の方法やバックアップ手順、万が一問題が発生した際の切り戻し手順などをまとめることがあります。

これらの手順をまとめた上でテストを行うことで、安全にパッチ適用を進められます。


4. 展開

利用者への影響を最小限に抑えて運用環境にパッチを展開します。

展開では実施計画やテストでわかった問題などを考慮に入れながらパッチを展開していきます。
問題が発生した場合は実施計画などを元に切り戻しなどを実施していきます。

上記の 4 つのプロセスを繰り返すことで効果的なパッチ管理の運用体勢が構築できます。
継続的な管理ができていないと感じる際は、現在の運用プロセスを見直してみるのが良いかもしれません。


パッチ管理を実行することのメリット

パッチ管理を実行する最大のメリットは、利用しているプログラムの不具合やセキュリティリスクを事前に把握することで、回避が可能になることでしょう。

回避できる具体的なリスクは以下のものが挙げられます。


マルウェアやウイルスによる情報流出の防止

マルウェアは、特定の動作を不正に実行することで機密情報の流出やデータの破損を引き起こすソフトウェア、コードの総称です。
一般的にはコンピューターウイルスとも呼ばれています。

マルウェアは特定のバージョンの OS やソフトウェアに存在する脆弱性を突いて実行されることが多く、OS やソフトウェアなどのバージョンを最新の状態に保つというパッチ管理で被害を予防することができます。


ハッキングや不正アクセスの防止

上記のマルウェアを用いて、サイトやサーバへのハッキングや不正アクセスが発生するケースも存在します。

不正アクセスは、脆弱性、セキュリティホール、不具合(バグ)、設定のミスなどを利用したサイバー攻撃で、攻撃が成功すると情報システムなどを不正に動作、利用させることができてしまいます。

こちらのケースもパッチ管理によって事前に脆弱性の穴を塞ぐことで回避することができる可能性があります。


パッチ管理を実行する上でのデメリットと解決策

パッチ管理には大きなメリットがある一方、運用するにあたりぶつかるデメリットも存在します。
ここからはデメリットの紹介と、そのデメリットの解決策について紹介します。


デメリット1 : 管理に工数がかかる

パッチを適用させるためには、まずシステム内に存在するソフトウェアのバージョンやプラットフォームについての調査が必要となります。

たとえば利用しているOSによって適用すべきパッチが異なるケースもあるので、状況によって別の対応をしなければならない場合もあるでしょう。

しかし、ひとことで調査といっても業務に利用されているソフトウェアを隅から隅まで洗い出して、さらにそこからリストアップする作業は大変な工数のかかる作業となります。

また、IT 管理者がパッチを手動で管理する場合、抜け・漏れ等のリスクも残ります。


デメリット2 : パッチの仕様調査が必要

配信されたパッチをただ適用していけばいいというわけでもないのがパッチ管理の難しい部分です。

各端末での利用OSやバージョンの違いによって、適用したパッチがソフトウェアの動作に悪影響を与えるケースも存在します。

そのため、最新のパッチの具体的な修正内容、推奨環境、推奨バージョンなどの仕様調査を細かく行った上で、適用するか否かの判断をしなくてはいけません。


解決策

前述したように、企業におけるパッチ管理は工数の面で大きな負担となることが課題となります。

また情報セキュリティに関する知識と技術のある IT 管理者が不足しているということも課題のひとつでしょう。

とはいえ、ソフトウェアや OS にパッチ適用をしなかった場合、組織は深刻なセキュリティリスクにさらされることになり、脆弱性のあるデバイスやアプリケーションに対して攻撃を受ける可能性が高まります。

これらを鑑みると、社内のリソースを活かしつつ効率的なパッチ管理を実現するためには、パッチ管理ツールなどを利用して管理を自動化することが有効な解決策となるでしょう。

工数面の負担でお悩みの際はツールの導入なども検討してみてはいかがでしょうか。


さいごに

今回はパッチ管理の概要から、導入のメリット、課題と解決策についてご紹介しました。

不正アクセスやマルウェア対策はもちろん、ゼロデイ攻撃対策のためにも、レベルの高いパッチ管理体制の確立を目指しましょう。

今回は広義のパッチ管理というテーマでご紹介しました。
この中には Web サービス・ Web アプリケーションにおけるパッチ管理も含まれています。

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